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福島に移り住み14年。脱サラ夫婦2人(+子供2人+ヤギ4頭)の楽しくておいしい農的生活です。


by sekikonko88

戦艦大和ノ最期

出荷作業中NHKラジオを聴いています。
番組で、高橋源一郎が、終戦70年を迎えるに当り読んで置きたい戦争文学ということで、「戦艦大和ノ最期」(吉田満著)を挙げていました。(他は、野火、江戸川乱歩全集)作業の合間読んで、やっと読み終わりました。漢字とカタカナの文語調標記で読みにくく時間が掛かり過ぎてしまいました。

読んでみて、悲しくなりました。
無謀な作戦を命令された兵士達の複雑な思い、使命と家族愛との葛藤、そして言い尽くせぬ凄惨な戦場・・・。
彼らは何のために戦ったのか?
現在の私が思う以上に、兵士自らが悩んでいました。
出撃を控えた士官達が集うガンルームでの論争
~以下本文より抜粋~
兵学校出身士官達「国ノタメ、君ノタメニ死ヌ ソレデイイジャナイカ ソレ以上何ガ必要ナノダ」
学徒出身士官達の反問「君国ノタメニ散ル ソレハ分ル ダガ一体ソレハ、ドウイウコトトツナガッテイルノダ 俺ノ死、俺ノ生命、マタ日本全体ノ敗北、ソレヲ更ニ一般的ナ、普遍的ナ何カ価値トイウヨウナモノニ結ビ附ケタイノダ コレラ一切ノコトハ、一体何ノタメニアルノダ」
「ソレハ理屈ダ 無用ナ、ムシロ有害ナ屁理屈ダ 貴様ハ特攻隊ノ菊水ノ「マーク」ヲ胸ニ附ケテ、天皇陛下万歳ト死ネテ、ソレデ嬉シクハナイノカ」
「ソレダケジャ嫌ダ モット、何カガ必要ナノダ」
論争後の鉄拳の応酬。
この論争を制する上級士官の結論
「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ 日本ハ進歩トイウコトヲ軽ンジ過ギタ 私的ナ潔癖ヤ徳義ニコダワッテ、本当ノ進歩ヲ忘レテイタ 敗レテ目覚メル、ソレ以外ニドウシテ日本ガ救ワレルカ 俺タチハソノ先導ニナルノダ 日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」
~以上抜粋終わり~
強制された死に直面する若者達の苦悶、その場の緊張感が伝わってきます。

自ら囮となり米軍の海空勢力を引き付け、日本軍の特攻を助け、敵攻撃を突破できた場合は、沖縄の敵只中へ突入、上陸して戦うという「天号作戦」。当然ながら航空機の掩護のない無謀な艦隊特攻です。
この命令に対し、艦隊の伊藤長官が、参謀本部に作戦の真の目的を問うたところ、
「一億玉砕ニ先ガケテ立派ニ死ンデモライタシ」と最後的通告を受けたとあります。
青年士官達の純粋さ、苦悩、苦悶とは比べ物にならないくらいの上層部の狡猾さと低レベルな保身・・・。

一体何のために戦ったのか?
進歩を忘れぬよう生きることが戦没された方々への最大の弔いになると思います。

しかしながら、作中で、多くの士官、兵士は2、30代(筆者は学徒動員の士官で当時22歳)で、40代の兵士も出ていましたが老兵ということで、お荷物的な扱いされている点、気になりました。(「終わらざる夏」でもそうでしたね)
やはり40代ってリストラ世代なのでしょうか・・・

by sekikonko88 | 2015-09-11 05:53 | 生活