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福島に移り住み14年。脱サラ夫婦2人(+子供2人+ヤギ4頭)の楽しくておいしい農的生活です。


by sekikonko88

忘れられた日本人(岩波文庫)

戦中、戦後の頃に、民間伝承についての調査のために農山漁村を歩いた時の話です。
当時の様子の他、行動様式、思考形態が分かりとても興味深い内容となっています。

その中で、集落で話し合いで何かを決める時の様子が描かれています。
身分の違いはなく皆平等だけども、議論を戦わせるのではなく、協議することについて、それぞれが知っていること、経験したことを、事寄せて話をする。反対意見が出れば出たで、賛成意見が出れば出たで、暫くそのままにしておき、話が出尽くしたら、その場の責任者が決をとり決めるという具合。
狭い世界で毎日顔を合わせて暮らしていくための知恵であろうと筆者は書いている。

これ程にはノンビリしていないが、この辺りの話し合いもそのような感じがします。
皆さんが、それぞれ、自分の知っていることをただただ話す。議論の核心に近づかないので、当初は、決めるための議論をして欲しいな・・・と思っていましたが、今では、地域にあった合理的な合意形成手法だと納得していますが、その源流は相当昔からあったのですね。

さて、本を読んでいると、長女が興味を示したので、一節読んでやりました。
木が覆いかぶさっていて全然見晴らしが利かない細い山道を歩く時の話です。描写が難しいので、絵で図解しながら話しました。
そのような山道で何故、地元の人は迷わないのか?
歌を歌いながら歩き、見えなくてもお互いに某村の何某ということが分かり、方向が分かるんだそうです。
聞いていた娘は、へーと驚きながら、更に興味を持ったようです。

今の私達に通じるものを感じますので、できる限り読み聞かせたいと思います。

by sekikonko88 | 2017-01-21 07:58 | 生活